2024.08.26 育休給付金の延長審査が厳しくなります!
こんにちは。
社会保険労務士法人第一コンサルティングです。
ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、育児休業には「延長」というものが存在します。育児休業の延長がされた期間についても育児休業給付金の支給を受けることができます。
今回は、令和7年4月1日から、育児休業給付金の延長申請における審査が厳格化されることについての記事を書かせていただきます。
いったいどのような変更が行われるのでしょう。
令和7年4月1日からの変更点解説の前に、そもそも育児休業の延長とは何なのかということから記載させていただきます。
育児休業は、原則として子が1歳に達するまで取得することができ、雇用の継続のために特に必要と認められる場合には、子が1歳6か月または2歳に達する日まで延長することもできます。
「雇用の継続のために特に必要と認められる場合」はいくつかあるのですが、今回審査が厳格化される項目のみに限ってお話をすると下記の場合です。
・保育の実施を希望し、保育所等に保育の申し込みを行っているが、当面保育の実施が行われない場合
この場合に、延長して育児休業給付金の支給を受けるのであれば、保育の実施が当面行われないことを証明する書類として、市区町村が発行する「入所不承諾通知書」「入所保留通知書」等の書類をハローワークに提出しなければなりません。
従来は、この書類の提出をもって育児休業給付金の支給延長が認められていました。
ところが令和7年4月1日以降については、上記書類に加えて、
・育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書(厚労省HPでダウンロード可)
・市区町村に保育所等の利用申し込みを行った時の申込書の写し
これらの書類の提出も求められることとなります。
なぜ、このように審査が厳格化されることになったのかという背景をお伝えすると、これまでは「入所不承諾通知書」や「入所保留通知書」さえ提出できてしまえば延長が認められていたことから、「もっと育児休業給付金をもらいながら休みたい」という人が、あえて落選を狙って、家から遠いのにも関わらず入所倍率の高い保育園に申し込むことや、入所希望を自分で出したにも関わらず、「入所させられるせいで育休給付金がもらえないじゃないか!」と自治体へクレームを入れることが多発していたからのようです。
そもそも、育児休業は育児を行う人がどうしても働けない期間の「雇用の継続を図るため」の制度ですので、働けるにも関わらず、休業するというのは制度の本来の趣旨とは変わってしまいます。
新たに追加された書類によって、主に下記の事項が確認される予定です。
・故意に自宅や勤務先から遠い保育所にのみ申込していないか。
・入所倍率の高い保育所等にしか申し込みをしていない(もっと近くに入所倍率の低い保育所が有るのに)。
・入所希望の保育所がそもそも1つしかない。 等
今後、従業員の方から「私は育休を延長して2年とる予定です」と申し出があった場合には(最初からあまり言わないとは思われますが…)、「育休の延長審査が厳しくなるから、保育所に断られたからと言って絶対に延長できるわけではないらしいよ」というところまで、お伝えできるとよいかもしれませんね。