2024.12.10 フリーランスに仕事を発注するときにはご注意を!!
「この仕事は社内ですぐに対応することができないな。よしフリーランスに外注しよう!そうだな、とりあえず納期は今週中でお願いして、納品物が思ったものと違ったらすぐに新しいものを作ってもらうとしよう。」
よくありそうな話ですよね。
しかしながら今後は、フリーランスにお仕事を依頼するのにも注意が必要です。
フリーランスという働き方が身近になってきた昨今、フリーランスの方が安心して働ける環境を整備するために「フリーランス・事業者間取引適正化等法(以下、フリーランス新法)」が2024年11月1日に施行開始されました。
法律の目的
この法律は、主に次の二つのことを目的として制定されました。
①フリーランスの方と企業などの発注事業者の間の取引の適正化
②フリーランスの方の就業環境の整備
言葉の定義
この法律内に出てくる言葉の定義はそれぞれ以下の通りです。
・フリーランス
→業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用しないもの
(法人であって代表者以外に他の役員が無く、かつ従業員を使用しないものもフリーランスに含まれます。一方で、個人事業主であっても従業員を使用している者は、この法律で言うフリーランスには該当しません。)
・発注事業者
→フリーランスに業務委託する事業者で、従業員を使用するもの。
何が変わる?
今回のフリーランス新法の施行開始によって、発注事業者が満たす要件に応じて、フリーランスの相手に対して、下記のような義務が課されることになります。
①書面等による取引条件の明示
業務委託をした場合、直ちに次の取引条件を明示する必要があります。
「業務の内容」「報酬の額」「支払期日」「発注事業者・フリーランスの名称」「業務委託をした日」「給付を受領/役務提供を受ける日」「給付を受領/役務提供を受ける場所」「(検査を行う場合)検査完了日」「(現金以外の方法で支払う場合)報酬の支払方法に関する必要事項」
②報酬支払期日の設定・期日内の支払い
発注した物品等を受け取った日から数えて60日以内のできる限り早い日に報酬支払期日を設定し、期日内に報酬を支払うこと。
③禁止行為
フリーランスに対し、1か月以上の業務委託をした場合、次の7つの行為をしてはならない。
・受領拒否
・報酬の減額
・返品
・買いたたき
・購入・利用強制
・不当な経済上の利益の提供要請
・不当な給付内容の変更・やり直し
④募集情報の的確表示
広告などにフリーランスの募集に関する情報を掲載する際に、
・虚偽の表示や誤解を与える表示をしてはならないこと
・内容を正確かつ最新のものに保たなければならないこと
⑤育児介護等と業務の両立に対する配慮
6か月以上の業務委託について、フリーランスが育児や介護などと業務を両立できるよう、フリーランスの申し出に応じて必要な配慮をしなければならないこと。
⑥ハラスメント対策に係る体制整備
フリーランスに対するハラスメント行為に関し、次の措置を講じること
・ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化、方針の周知・啓発
・相談や苦情に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
・ハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応 など
⑦中途解除等の事前予告・理由開示
6か月以上の業務委託を中途解除したり、更新しないこととしたりする場合は、
・原則として30日前までに予告しなければならないこと
・予告の日から解除日までにフリーランスから理由の開示の請求があった場合には理由の開示を行わなければならないこと
上記が発注事業者に課される義務です。
それぞれどういった要件を満たせば課せられるのかは添付の図をご覧ください。
「ハラスメント行為への措置」や「業務委託を更新しない場合には30日前までに予告」という点は、現在労働者に対して会社が守るべきルールにとても酷似していますよね。
この法律は公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省の管轄なのですが、法律を守っていない場合には「指導・助言」が行われ、その後も改善されない場合には「勧告」が行われ、それでもまだ法令違反の状態にあるときは「命令」や「事業所名の公表」が行われます。
この「命令」までも無視すると50万円以下の罰金です…
労働者ほどとは言わないまでも、今後フリーランスの就労環境改善には国も力を入れていくことが見込まれます。
どんどん法律が厳しくなっていく前に、新しい法律にも対応できるよう今後のフリーランスの方々への対応を検討していきましょう。