DAIICHI KEIRI SEMINAR 第一経理ゼミナール
今回のテーマ
働き方、このままで
いいんですか?
第一経理ゼミナールとは、
第一経理グループPR委員会メンバーが、
日々お客様と接する中でお聞きした、
お客様が今知りたいこと、気になることをクローズアップ。
解決のための本2冊をお客様に代わって
読み比べ + 勉強会を行い、ブックレビューします。
第三回目のテーマは「働き方、このままでいいんですか?」。働き方改革は、今や大企業のみならず中小企業にとっても重要な経営課題となりました。仕事と生活、どちらも充実させて、人生の質を高めていけたらいいけれど……。なかなか進まない日本人の働き方への考え、そして取組みについて、経営者も社員もみんなで一緒に考えてみましょう!
『残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?』
歴史や慣習から、データを駆使して分析
残業という超難関に立ち向かう!
超高齢化社会を迎え、あらゆる仕組みをアップデートする必要に迫られている日本。女性やシニア、外国人をはじめとした多様な人々の力が鍵となる中、それを阻む最大の障壁が、日本独特の働き方「残業」です。
大学教授の著者・中原 淳氏が、働くことについて講義形式で話を進めていきます。受講者は4名。新入社員(20 代)・ワーキングマザー(30代)・中間管理職(40代)・人事担当役員(50代)と世代も立場も違う受講者の質問に答えながら、現代の働き方を考えます。「働き方改革の必要性」を支持しながらも、どこか「やらされ感」のある働き方改革に警鐘を鳴らしています。
日本に残業が根付いた歴史と慣習を紐解き、膨大なデータとエビデンスに基づいた科学的な分析から、「長時間労働の是正」という超難問に立ち向かう一冊です。
いいね! 残業の発生メカニズムがよくわかります。
残業が多い人は、その原因をどうしても自分の能力不足というところに求めてしまいます。しかし本書では決してそれだけが原因ではなく、職場の雰囲気や人間関係の中にあるとあげています。このように残業が発生するメカニズムが、あらゆる角度からわかりやすく説明されています。
まあまあ。
企業の環境はさまざま。
実務的に取り入れるためには一考を。
一般論としてはそのとおりですが、解決策や提案が具体的ではない部分もあります。また企業といってもその規模や取り巻く環境なども様々であり、すべてを一括りで語れる問題ではないように思われます。その意味でこの問題の解決に実務的に活用できるかは疑問もありますが、「残業」を通じて見え隠れする問題を考えるきっかけとなる一冊ではあります。
まあまあ。 後半も対話形式で全体を進めていれば、もっと共感できた
残業削減の提言の箇所は、生徒との対話形式となっておらず、一方通行な印象を感じました。残業発生の原因の章などでは生徒の疑問が鋭かったり共感できたりしたので、提言の箇所でもそのような質問に答える形をとってほしかったと感じます。
いいね! 残業という「慣習」に従ってきたことに気づかされました。
様々な切り口でデータに基づき系統だってまとめてあるので、今までバラバラに理解していた(知っていたことや経験してきた)ことが、頭の中で整理され目からウロコでした。今までいかに「慣習」に従ってきたかに気付かされます。
いいね! おもしろく読ませる著者のネーミングが秀逸!
「残業インフルエンサー(優秀な社員に仕事が集中。できる社員の働き方が影響力をもつ)」、「フェイク残業(職場の帰りにくい雰囲気から忙しさを演出する)」、「改革ゾンビ(施策は効果がなくても明示的に廃止されることはなくゾンビのようにさまよっている改革 )」、「御触書モデル(施策の告知方法がイントラや一斉メールで一度伝えただけで満足してしまう。一度伝えたことを伝わったことと解釈する傾向)」など、著者の造語がおもしろく、思わず笑ってしまいました。
テーマのまとめ
残業についてお悩みの社長さんに手に取ってほしい一冊!
社員の残業時間がそもそも把握できていない社長や、把握はしていてもどう行動したら良いかわからない社長、そして残業に対する社員の不満を少しでも感じ取ったことのある社長には、ぜひお手にとっていただきたい一冊です。
今回のひとこと
この「残業学」は、自分の心の奥底にある気持ちや、あるいは会社の組織というものを考え直させるものです。自分の生きがいというもの、あるいは職場で働くということに、なにかモヤモヤするものを持っていらっしゃる方は、この本を読むことによってそれらを解きほぐしてくれると思います。
やるときにはやらなければならない「残業」。要はバランスです。超高齢化社会を迎え、「長時間労働(いかに長い時間残業するか)」から「長期間労働(定年後もいかに長い期間働けるか)」にライフスタイルをシフトさせる必要があるかと思います。