DAIICHI KEIRI SEMINAR 第一経理ゼミナール 今回のテーマ 大切な人財の離職を防ぎたい
第一経理ゼミナールとは、
第一経理グループPR委員会メンバーが、
日々お客様と接する中でお聞きした、
お客様が今知りたいこと、気になることをクローズアップ。
解決のための本2冊をお客様に代わって
読み比べ + 勉強会を行い、ブックレビューします。
今回のテーマは「大切な人財の離職を防ぎたい」です。せっかく入社したのに、組織や仕事に違和感があり、なじめないまま時間が過ぎていき、短期間で退職してしまう社員に、悩まされている経営者は多いと思います。せっかく採用した貴重な人財が、力を発揮できずに退職してしまうなんてもったいない!解決の糸口を学んでみましょう。
『組織になじませる力』オンボーディングが新卒・中途の離職を防ぐ
入社した社員を、いかに組織になじませるか?
組織への定着と戦力化を促進するためのプロセス「オンボーディング」を学ぶ本
労働市場が流動化し、転職が当たり前の時代になりました。転職が当たり前だからこそ、環境にうまくなじむ力が重要になります。うまくなじめなければ何の知識やスキルも身につけないまま、ネガティブな転職を繰り返すだけです。どの企業でも人財不足、人手不足が大きな経営課題となっています。社会的に人財流動性が高まりつつある状況下で、社員が定着せず、離職されてしまっては、企業として、事業活動が立ち行かなくなるリスクは高くなります。「入社した社員を、いかに組織になじませるか」その取り組みについて、新卒採用、中途採用とに区分し、それぞれの個別/共通課題と方策について、わかりやすく整理されています。
その鍵は「オンボーディング」。この本では、新卒や中途採用者に有効な「オンボーディング」の取組みについてまとめられています。「オンボーディング」とは、新しく組織に加わった人財にいち早く職場に慣れてもらい、組織への定着と戦力化を促進するための一連のプロセスを指します。
いいね!
新入社員のサポートと同様に
迎い入れる側へのサポートも必要
「オンボーディング(on-boarding)」とは、もともと、船や飛行機に乗っているという意味です。本書ではこれを「組織になじませる力」として、新卒採用者や中途採用者など、会社という「乗り物」に新しく加わった個人をなじませ、持てる力を十分に発揮できるようになるサポート方法を紹介しています。効果的なオンボーディングを実行するためには特に現場の上司の役割が重要と紹介されていた点が、とても興味深かったです。上司や、新入社員を迎える先輩や同僚への働きかけも並行して進めることが必要だと感じました。
まあまあ。 経営者側の意見も聞きたい
専門用語やキーワードが複数出てくるため、話についていくのが少し大変でした。また、少し理想論の部分が多い印象を受けました。新卒や中途などの採用される側の調査やインタビューは充実しているので、なるほど、そういうところに困っていたんだ」という発見はありますが、人事担当者や経営者側の「なぜうまくなじませることができないのか」という視点の意見もあるとより良かったと思います。
いいね! 中途社員への研修「アンラーニング」の重要性を知りました
中途入社の社員に対してこそ研修を充実すべきだということには驚きました。というのも、新卒で入社してきた社員と中途で入社してきた社員の組織になじませるために大きく異なってくるのが、アンラーニングだそうです。アンラーニングとはいったん学習したことを意識的に忘れ、学びなおすことをいいます。つまり、中途で入社してきた社員は前職で培ってきたものには前職固有の色が染みついた状態で入社してくるため、前職で染みついた色を落とす作業が必要だということ。新しい環境になじませることを阻害する経験や知識のみをアンラーニングし、同じ中途入社の社員だけを集めた研修を行う、そうすることで社内での人脈ネットワークを形成することができ、アンラーニングをすることができるそうです。
まあまあ。 何度か読んで理解を深める必要があります
様々な立場からの研究結果や筆者の考えは興味深く、とても勉強になりましたが、専門用語や言葉の定義付けも多いように感じました。そのため、内容を理解するのに時間がかかってしまいました。
テーマのまとめ
採用でお悩みの会社ならお金もマンパワーがなくてもできる! 採用担当者だけでなく、社員全員に知ってほしいノウハウ
組織になじませることに力を入れ、会社への定着率向上だけでなく、従業員全体のパフォーマンスを上げるために、相互理解を深めることの重要性が書かれています。また筆者は「オンボーディング」には、必ずしも多くの人員や資金は必要ないという考えのもと執筆されているのが特徴。会社規模に関わらず、人手不足で悩まれている会社の社長や人事担当者、新しい社員を迎い入れる全社員にお勧めしたい一冊です。
今回のひとこと
オンボーディングを効果的にするために、新卒/中途採用者だけではなく、新卒/中途採用者を取り巻く環境に働きかけることも重要と説いています。そのひとつとして、企業側に “上司を育成上手にする”ことが必要と筆者は主張します。たしかに、若手社員や中途採用社員に対する仕事の割り振りや現場の職場環境に影響力を持つのは上司であることが多いかと思われます。そのため、人事に携わる者以外に、現場の上司やリーダーにも一読いただき、採用や人財育成の取り組みを検討する際に、共通の認識を持っていただくことも必要かと思います。